張り切って早起きしてホットケーキを作ったあおいは、いつもより一時間も早く勉強部屋に行った。
だから藤咲は驚いていた。
「屋敷に行くと、家政婦にあおい様がもう勉強部屋に入られたと聞きまして…」
「うん。早起きしたから…」
そうですか、と困ったように微笑む藤咲。
「あの、それに…」
あおいは机の中に隠していたホットケーキを包んだナプキンを取り出した。
が、頑張れあたし。
「あの…これ、ホットケーキ、作ったんです」
あおいは藤咲にホットケーキを突き出した。
お礼のつもりに渡すだけなのに、すごく恥ずかしかった。緊張した。藤咲さんの顔を見れない。
「よかったら貰ってください!」
少しだけ、間があった。
藤咲は直ぐには受け取らなかった。

