「あの…」


「どうされました?」


振り向いた時の執事の表情は穏やかになっていた。


「執事さんは…ハーフですか?」


あおいはぼそりと言った。


「いいえ」執事は微笑んだ。「しかし私の祖母がフランスでした。あと、私には藤咲という名前がありますから、藤咲で呼んでもらって構いませんよ」


「はぁ…」

そういえば藤咲とか言ってたっけ。


「ところで、あおい様」


「は、はい?」



「お屋敷での生活はどうでしたか?」



ギクリ。
あおいは目をそらした。

「あの、あの、あの」

はっきりさせておかなければ。


「執……ふ、藤咲さん…は、昨日のあたしの独り言…聞こえたんですか?」



「昨日の…?」



「階段の時です!助けて頂いたときです!」


あおいは顔が熱くなるのを感じた。