「危ない…」



スーツの男があたしを掴んでいた。



「…あ…」



スーツの男はあおいがバランスを取り戻したのが分かると、手を放した。


「…ごめんなさい」

赤くなりながらあたしは改めて男の顔を見た。



…うわっ!き、綺麗な顔…!
黒みのかかったブラウンの髪で…日本人だ。お伽話の王子様みたい……


「あおい様ですね?」


男は優しくたずねた。


「は、はい…」


「私は執事の藤咲と申し上げます。そしてあなたの教育係です」


胸に手を当て、礼をする。


まるで…王子様がお姫様に挨拶してるみたい。

この人、様になりすぎ…。

…って、そうじゃなくて…
この人が執事い?!
そんなことって!


「あなたが?」


「ええ」


執事って言うならおじさんかと思ってたから…。