教えてあげるよ。
藤咲のことを。
俺の方に来ないか。
…駄目。騙されちゃいけない。
あおいは眉に力を込めて、松永さんを見た。
「どうしてあたしが松永さんの方へ行く必要があるんですか」
松永さんは微笑んだ。ライトの光のせいで、それが残酷に浮かび上がった。
怖くなんかない。
あおいはこぶしを握りしめた。
「残念だ。俺は信用されてないのか」
松永さんは微笑みながらゆっくり言った。
「お前は仮面を被る男の方が、信用出来るのか」
「藤咲さんは、犯人じゃないからです!」
「なぜ、そういえる?」
「……っ!」
松永さんは一歩詰め寄り、背中がどんと壁に当たった。
「証拠はあったか?お前が誘拐されるとき、そこに藤咲はいたのか?」
「それは…っ」

