「俺は昔、あおいちゃんみたいなお金持ちのお嬢様に、酷いことをしてしまったんだ。だから俺は…あおいちゃんは幸せでいて欲しい。それだけさ。どうか信じて」
「信じ……」
信じていいの?
こんな真剣な眼差しで…
あたし、どうしたらいいの?
「…分かりません」
背中に壁の冷たさを感じながらあたしは言った。
「あたし、分かりません。この事件が終わらないと。松永さんはこのことを伝える為に夜中あたしを連れ出したんですか?」
松永さんは表情を変えない。
「いいや。あおいちゃんを助けようと思って」
あおいは目を見開いた。

