―Prologue―



いつもの鐘の音が鳴る。
いつもの教室、いつもの友達。

もちろんいつものあたし、
平野あおい高校二年。

平野あおいを一言で言うなら、地味しかない。
染めたことのない黒髪のみつあみで、長めのスカート、背は高いが猫背気味。

地味過ぎて逆に目立つ。


そんなあおいでも、恋をしている。

ひそかな恋…


クラスのムードメーカーで、誰とでも明るく気さくな男の子、池野くん。
見ているだけで幸せ




…見ているだけで……




……見ているだけでいいっつーのにっ!


「綾放して!無理だからあー」


「ダメダメ!もう想いを伝えるべきだよ!一年中そんなこと言って、あたしじれったい」



「あたしはじれったくないしっこのままで…」



「他の子に取られて泣いても知らないよ?」



「いいもんっあたしなんか池野くんと釣り合わないし、あたしなんか……」


「あっいた!」