孝久はそれを凝視する。

 そして決意する。


「俺は死なない」


 ──死んでやるものか。

 幼いながらもその決意は本物であった。

 

「死ぬのが怖いんだ」

 この事件によって杉島孝久の人間性は大きく変化したのだ。
 

 友人の転落事故──孝久が小学5年生の頃の出来事である。