萩島瑠子と杉島孝久が出会う7年前。 萩島瑠子は病院のベッドに寝ていた。 「あたしはいつも独りぼっち」 ──寂しい。 「死ぬまでここにいるのかな?」 ──苦しい。 「ならさっさと死ねばいいのに、こんな身体」 ──でも、死にたくない。 それは矛盾するけど、萩島瑠子の心であった。 病名は知らされていない。 だけど、定期的に苦しい思いをすることをお医者さんに教えてもらった。 瑠子がすれば良いのは我慢すること。 瑠子が我慢できれば、大丈夫なのだ。