千代が死んで孝久は、初めて千代が自分にとって如何に大切な存在であるかに気づいたのだ。 それほど依存していたのだ。 千代がいなくなって、孝久は独りになり、やがて誰も信用しなくなったのだ。 ──なぜなら死にたくないから。 「俺は、死にたくない」 ──だって、俺は生きている。 「…………萩島」 萩島のことを思い出す。 ケータイを取り出してメールを書く。 『死にたいって思うことある?』 返事はすぐに来た。 『思うこともあるわ。こんなに苦しいなら死ねばいいのにってね』