「…幸歩、誰?その人。」 ちょっと低めの声にドキッとなる私。 ふと柊平を見ると、笑顔のようで笑顔じゃない…複雑な表情をしていた。 「あっ!えっと…職場の先輩で宇堂さん…。前にちょっと話した…よね?」 アタフタしながらそう言うと、柊平は以前、話した時のことを思い出したようだった。 「へぇ、和丘さん…俺のこと、彼氏に話してくれてたんだな。」 「もう彼氏じゃないんですよ…俺。」 柊平は、私の肩に手を回すとグイッと引き寄せた。