先生にキス〈5〉


「あっ……」


思わず声が漏れる。


宇堂さんが持っていたのは、旅行雑誌。


お昼休みに見た後、カバンにしまったつもりだったのに、何かの弾みで落ちちゃったんだ……。


「す……すみません、ありがとうございました。」


お辞儀をして、受け取った。


「旦那と旅行行くの?」


「…行かないんだったら、雑誌なんか見ません。」


素っ気なく言いながら、雑誌をカバンの中へとしまい込んだ。


「旅行に行くなら、旦那なんか止めて俺と行けばいいじゃん。」