「あっ……」 思わず声が漏れる。 宇堂さんが持っていたのは、旅行雑誌。 お昼休みに見た後、カバンにしまったつもりだったのに、何かの弾みで落ちちゃったんだ……。 「す……すみません、ありがとうございました。」 お辞儀をして、受け取った。 「旦那と旅行行くの?」 「…行かないんだったら、雑誌なんか見ません。」 素っ気なく言いながら、雑誌をカバンの中へとしまい込んだ。 「旅行に行くなら、旦那なんか止めて俺と行けばいいじゃん。」