中学の時に一度だけ、自慢の脚力を見せたことがあった。

体育祭のリレーやマラソンなどではいつも手を抜いて適当に走っていたが、親の知り合いの頼みで仕方なく出場することになった駅伝大会のときだけ本気で走った。

別に本気を出したかった訳ではなかったが、運悪く襷が一位で回ってきてしまい現状維持をしようと普通に走ったら、それがとんでもない記録を出してしまった。

このことを知っているのは一部の人間だけだったが、偶然実行委員の一人が同じ中学出身だった。

…そして結果的にかなりの注目を浴びることになり、リレーのアンカーと、短距離走に出ることになった。


…その後、クラスメイトが口々に「あいつって意外と凄いんだ」とか「あいつただのオタクかと思ってた~」などと言っていた。


仕方ないなと思ってその後もまた外を眺めていた。

話し合いが終わり、クラスメイトが続々と教室から出て行った。それに紛れるように教室を出た。