「なぁ、道を教えて貰ってる身なのにこんなことを言うのはなんだけど…本当にこっちであってるのか?」

歩き始めて10分程たった。しかし、進んで行く程道が険しくなっていった。

「あってるよ」

「……さっきのところやっぱ右じゃなかったのか?別に間違えても気にしないけどさ。」

しかしチェシャ猫はこの道であっていると言った。
常識的にいうと今歩いているのは道ではない…草を無理やり退けて道を作って通っている……

どう考えても、この先に人が住んでいるとは思えなかった。


……しかし暫く歩くと洋風の大きな建物が見えてきた。

「……疑ってごめん。それにしてもデカい家だなぁ。」

「帽子屋さんは金持ちだからなー…俺も前住んでたことあるけど、中凄い豪華だよ?」

「…帽子屋ってどんな奴なんだ?」


アリスが尋ねると、チェシャ猫はうーんと少し考えたが「直接会えば分かるよ」と言った。

その後会話は途絶えて無言で歩いた。
…何故か、チェシャ猫と無言状態が続いても疲れなかった。