暗い道から抜けると───森だった。
森と言ってもまだどこの森かは分からないが、とにかく四方全て木で覆われていた。


「……ここは、どこだ?帽子屋は?」

詳しく王様に帽子屋のことを聞かなかったが、"帽子屋"というくらいだから建物があるはず…とアリスは思った。


辺りを見回すが建物らしいものは一つもなかった。
今更アリスは詳しく聞かなかったことを後悔した。


──ガサッ


アリスが考えているとどこかから音がした。


「…ん?」


──ガサガサッ


アリスが振り向くとまた音がした。


「…誰だ?」


──ガサッ、ガサガサ……ガサガサッ


アリスの声に反応はない。それどころか…音が更に大きく近くなっていった。


……しかし、音がすぐ近くまで来たかと思うと急に音が消え森は元の静けさに戻った。


「…いったい何だったんだ?」



「さぁね?」