「あなたなら出来るかもしれないわね。どうか白兎に捕まらないで……あっ、こんなことを言う為にあなたを呼んだんじゃないわ。……。」
王様の顔が真剣な顔に変わった。アリスはそれを察し、王様の話を聞いた。
「…あなたは運がいいわね。普通アリスはこの部屋には来ないわ。……これから言うことをよく聞いて。今この城に白兎がいるの。今から普通に逃げたら間違いなくあなたは捕まるわ。女王は毎回これでほとんどのアリスを捕まえているの。きっと今白兎はあなたを探しているわ。」
「…待て!!ってことは俺は捕まるのか?…足には自信があるんだが……」
アリスはさりげなく自分の脚力のことを自慢したが、王様に見事にスルーされた。
「いいから聞いて。…実は女王には内緒だけど、この部屋には隠し通路があるの。だからそれを使ってこの城から出て。そうしたら帽子屋さんのところに出るからあとはそこで詳しいことは聞いて。」
「えっ、ちょっと待てよ…」
「もう時間がないわ。通路はここに………」
そう言うと、魔法陣のようなものが浮かび上がって床に階段が現れた。
「……あなたに会えて良かったわ。さぁ、早く」
まだまだ言いたいことがたくさんあったが、アリスは階段を急いで駆け下りた。
「ありがとな……」
最後に一言ってアリスは前を向いて走った。
そしてすぐにまた魔法陣が浮かび上がって、道が消えた。
