アリス逃走中




しばらく沈黙が続いた。王様は俯いたまま動かない…

「…ごめん。いきなり抱きつかれたからつい…怪我は無いか?」


王様が動かないので心配になってアリスは手を差し出した。

…だが、王様は動かない。

「………アリスは私のこと嫌いなの?」

消えそうな弱々しい声で王様は言った。アリスはすぐ王様の問に答えた。

「…別に嫌いではない。それに、まず嫌いになる理由がない。……」

アリスが言って少しして王様は顔を上げた。その頬には一筋の涙が伝わっていた。

「…本当?」

「そんなこと嘘付いたって意味ないだろ。」

アリスは即答した。また王様の頬に涙が伝わった。


「アリス…あなたは本当にアリスなの?………」