アリス逃走中




少女は長いきれいな黒髪をふわっとさせてくるりと振り向いた。予想通りの可愛らしい顔。…その顔にはまだどこか幼さが残っていた。


「初めましてアリス。会いたかったわ!」

「初めまして…えっと?どちら様?」


何故かさっきの女王のようにアリスは喋れなかった。


「私はこの国の王よ。」


「え?」とアリスは間抜けな声を出した。自分よりも年下に見える少女が王様だなんて…おかしい。

だが、さっき女王が男だったのを考えると何か訳がありそうだ。…まぁ別にどうでもいいけど。と、アリスは推測をするのをやめた。


「アリス、私はあなたのことをずっと待っていました…あなたに会えて本当に嬉しいわ!」


そう言って王様はアリスに抱きついた。

「ちょっ…なんだよ!!」

アリスは王様を突き飛ばした。そして王様は床にバタッと倒れた。少しやりすぎたとアリスは思ったが手を差し出すことはなかった。