愛しい君へ



「抗がん剤を使用すると髪の毛抜けちゃうのは知ってるよね・・?」
頷く。
「それは龍哉も知ってた・・。抗がん剤を使えばもう少し生きていた・・。でも・・龍哉は髪の毛がなくなっちゃうって・・言ってたらしいの・・。そしたら梨李は俺がガンだって気付いて・・迷惑かけるって・・。少なくともカッコいい俺を見せていたいって・・・。言ってたらしいの・・。それで・・龍哉は最後まであなたのこと嬉しそうに話してた・・。容態が急変したのは夜中の間だったらしい・・。あたしが帰るまであなたのこと本当に好きらしくて・・。『俺がもう少し長く生きていられたら絶対梨李を幸せにするのに』とヵ『俺が居なくなったら梨李が悲しむ』とヵ『梨李幸せに出来るのは俺だけだ』とヵ・・。一回口開くと絶対そればっか話して・・」
龍哉・・・。何も聞いてないよ・・・あたし・・。
なんで言ってくれなかったの・・・?
すごくツラかったよね・・・?
「でもね・・初めて昨日・・龍哉ヵら聞いた言葉があるの・・。『姉貴、俺をここまで育ててくれてありがと。俺、こんなんだけど本当に感謝してる。梨李にも逢えたしバカやれる友達も出来た。もう・・俺は居なくなるけど姉貴は・・あいつの分も俺の分も生きてくれ。梨李にもそう伝えてくれ』って・・。初めてあいつの口ヵら感謝の言葉出たの・・。そうさせたのはあなたのおかげよ・・」

やっぱり・・昨日言っておけばよかった・・。
あたしも愛してるよって・・・。
ずっと一緒だよって・・・。
なんで言えなかったんだろう・・・。
龍哉が・・死ぬなんてことが分かったら・・。
絶対言ってたのに・・・。

あたしは龍哉の手を握る。
「いつも・・この手であたしを守ってくれたね・・・。すごく頼もしくて・・・でもとても寂しかった手だった・・・。この手でいつも・・あたしを抱き締めてくれてたね・・。でもあたし・・1回しヵ抱き締めてあげられなかった・・。ごめんね・・、龍哉・・・」
悲しいはずなのに、全然涙が出なかった。
変だね、龍哉?
あたし、まだ龍哉が生きてるって信じてるみたい。