「梨李?」
「ぇ?あ、ぅん」
「大丈夫ヵ?なんヵ思い詰めてたヵら」
「大丈夫だよッ!」
「ならいいけど・・。 夕飯、ど-する?唯も夕飯までには何が何でも帰るって言ってたぞ」
「ぢゃあ・・結城兄ちゃん作ってよ♪」
「ィィヶド。何がいい?」
結城兄ちゃんは腕まくりしながらキッチンへ向かう。
「ん-・・何でもいいや★」
「分かった。ぢゃあ待ってろよ」
「ぅん!」
あたしはテレビを点けた。

ふいに何も聞こえなくなった。
何も考えられなくなった。
すると目の前に龍哉が立っている。
龍哉?
どうしたの?
声が出ない。
「梨李、俺が居なくても大丈夫だよな?」
そんなことない!
首を振る。
「なあ、お前は幸せだったか?」
頷く。
「そうか・・。俺も幸せだった。もうこれ以上要らないくらい幸せだった。毎日梨李が隣に居て、慎耶や実美も居てくれて。でももう俺・・行かなくちゃ・・。もう時間が来たみたいだ・・。梨李・・最後まで一緒に居てくれてありがとう・・。俺は・・梨李を世界一愛してる!」
そう言う龍哉は今まで見た事のない笑顔をあたしに見せて、頭をくしゃくしゃとして歩いて行く。
龍哉!
行かないでよ!
声にしたくても出ない。
動きたくても足が動かない。
「梨李-!俺が居なくなっても死ぬなよ!俺はそんなこと望んでねぇヵら!お前には俺の分も精一杯生きて欲しい!俺は先行って待ってる!お前はゆっくり来いよ!ぢゃあな!」
龍哉は振り返って手を振って走り出す。
「・・龍哉!」
ようやく声が出て、足が動く。
あたしは必死に龍哉を追いかける。
でも全然追いつけずについには見失う。