「電話、たくさん掛けちゃってすみませんでした……。」


亮くんが口を開いた。


「私こそごめんなさい……勝手に抜け出して、亮くんのこと裏切って……。」


「いいんです。最初からわかってましたから……。中井さんが綾吏先輩を想う気持ちには僕は勝てないって。」


「え……」


「中井さんがいなくなって、綾吏先輩と付き合えた時、ほんとにほんとに嬉しかったです。……でも、心のどこかで、中井さんには一生勝てないって思ってました。…だって、中井さんは綾吏先輩を見る時だけ、すごく温かい目しているんですから。」


亮くん、そんなこと思ってたんだ……


「短い間だったけど、付き合ってくれてありがとうございました!」


亮くんは笑顔で言った。強いな……亮くんは。