どんなに忘れようとしても、頭の中から綾吏の存在は消えなくて……。 いっそのこと、父さんの後継ぎなんかやめて、綾吏の元へ行ってしまおうかと思う時もあったけど、弱い俺はそんな根性もなかった。 「……ねぇ……蓮は、あの時幸せだった?」 綾吏が呟くように聞いた。 「……うん。」 「じゃあ……もう一度……付き合う?」 「……え?」 驚きながらも、綾吏への想いが抑えられなかった俺がだした答えは……"うん"だった。 婚約者がいることを、この時の俺は考えていなかった。