道の端に
ひそりと佇んでいる
緑の茂みを掻き分けて
見つけてしまった
緋色のお椀

ただ一途に
大空に焦がれている
腕を削ぎ落としてもなお
凛として咲いた
“天上の花”

曼珠沙華を食して彼岸
ねえ、可憐よりも
妖しく堕ちて逝きましょう

リコリスラビアタ
貫き上げる


部屋の隅で
ひとりで興じている
退屈で醍醐味のない
世界に飽きたら
錦の朱筒

ただ一心に
一期一会を見ている
もっと光にあたろうと
鈴と揺らしたら
一瞬の花

万華鏡を回して輪廻
ああ、華麗
合わせ鏡で終わりなき夢幻

チェンバースコープ
幻あげる


足の元に
きらりと光っている
映りこんだ彼の岸に
気付いてしまった
銀色の盤

赤を散らし
外套を纏っている
頭を自ら失って
連夜欺いた
狐のお花

曼珠沙華を食し転生
ねえ、可憐さえも
椀中の出来事でしょう

万華鏡を覗いて彼岸
ああ、華麗
虚実の真実終わりなき無限


リコリスラビアタ
リコウデスアナタ
堕としてあげる










≡≡≡≡≡≡≡
2/9 UP

鈴 りん

山口誓子さんの俳句に感銘を受けて書いたもの。
でも、曼珠沙華が出て来ることしか似てないという……

携帯で打つとどうしてもくらいものになってしまう。

曼珠沙華とは彼岸花のことなのですが、花がなくなって葉が出ているときは他の食べられる植物と間違えやすいんだとか。

でも毒があります。