可哀想な兄弟よ

茜い緋い夜に
残忍な悪い夢を見せよう

憎しみに溢れたその瞳で
あの凛とした月をも呪うまで

“殺したい”と

擦り切れるほど
想っておくれ


大嫌いな兄弟に

抱いていた野望を
漆黒の闇に再現しよう

天を照らす光を斬り裂いて
この青い雷でその胸を貫くまで

“赦さない”と

殺めることを
想いつづけた


血塗られたる
我が一族

親愛なる
父母を殺戮

空に舞い散る
砕けた砂鉄

粉末の剣と盾とを
手にとって

新たな力と引き換えに
憎き我を殺さんと


可哀想な兄弟よ

朱い赭い夜に
残酷な悪い嘘を見せよう

復讐に憑かれたその瞳で
燃え盛る黒い炎をも覆うまで

“殺したい”と

枯れ果てるほど
叫んでおくれ


唯一無二の兄弟よ

ずっとずっと強く
想うほどに逞しくなるから

真実を知らされることもなく
縛られない翼で己の道を

“生きてくれ”と

最期にそっと
額を小突いた










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12/29 UP

父母 ちちはは

書き始めて3週間程。
何気にとあるアニメに感銘を受けて書きました。
本当に感動しました、あれ。

ストーリー仕立てなのでもう少し掘り下げたかったけれど力不足で諦め。
あーあ。


一応解説。
弟に自分を憎むことで強く逞しくなってほしいと願っている兄とその弟の話です。
ほとんどが兄視点。