頼祢はしばらく動かなかった いや、動けなかったのかもしれない 出勤時間も迫っていたけれど、怪我人をスルーしていけるほど 私はまだ夜の、いや歌舞伎町の住人にはなれていなかった 「……………大丈夫ですか?」 「……ほっといてくれ」 「え、でも怪我」 「お前に関係ないだろ」 動けない奴が何言ってんだろ、と思った スーツも本人もボロボロで、病院に行くにしてもどうするつもりなのかと