オレンジ色の携帯




俺の特等席は奥まった所にあってここの客の死角になってる。


でもってスピーカーに一番近いからそこまで静か過ぎず落ち着く。


曲選も今流行りの曲だったり夕爺の若い頃のヒット曲だったりクラシックだったりバリエーションも豊富で飽きがこない。


見た目に関してもここは一層緑が多くて良い。


俺からしたらこの店で一番良い所だ。


「ここ…いいの?」


机の上に乗っていた札を除けると彼女が控えめに聞いてきた。


「ん?あぁ」


それはたぶん俺が"予約席"って札をどけて座ろうとしているからだ。


「ここ俺の予約席だからね」


言えば驚いた顔をした彼女。


素直な反応に笑みが零れる。


すると何故か彼女が俯いて頬を赤らめた。


「夕爺が俺のために置いといてくれるんだ。予約してるワケじゃねぇけど」


どうぞって言って椅子を引く。


照れながら座ってくれた彼女が可愛い。


俺、今心底幸せ。