オレンジ色の携帯




鞄から出してそれを眺めていると振動が止まってしまった。


あ、あれ?出た方が良かった?


独り困惑してオロオロしていると芳成が俺の手中を覗き込んだ。


「何ソレ。機種変したのか?」


「いやしてねぇけど…」


携帯に唯一ついた羽とビーズのキーホルダーが楽しげに揺れる。


「誰の?」


「いや俺に聞くなよ。お前の鞄に入ってたんだろ?」


「…。知らねぇ」


本当に誰のだろう。