「……」

廊下の曲がり角を曲がって、『彼女』は俺達の前に姿を現した。

ショートヘア、ネグリジェ姿の女の子。

年齢は俺達と同じか、ともすれば中学生くらいにも見える。

そんな女の子が、片手で目を擦りながら立っていたのだ。

「…あ…あの…」

朝霧が恐る恐る話しかける。

「貴女…ここで宿泊していた人ですか…?」

「……」

彼女は無言のままでコクリと頷いた後、周囲をゆっくりと見回す。

どうやら状況が把握できていないようだった。