そんな緊張感の中、ひたすら階段を駆け下りる。

45階に到着する頃。

「はぁっ、はぁっ…ちょ、ちょっと…ちょっと待って下さいぃ…」

階段の踊り場辺りで、朝霧が膝に手を当てて息を切らした。

「少し休憩させてくださぁい…私、もうヘトヘトですよ…」

彼女は心底疲れたような顔をするが、まだ50階からたった五つフロアを降りただけだ。

先は長い。

さっきも触れたが、あまり時間をかけている余裕はないのだ。

「朝霧、もう少し頑張れないか?上の階から炎が迫ってきてるんだ」

俺はそれとなく朝霧を励ます。

「無理ですぅ…私こういう体力を使う事は苦手で…」

いまだ呼吸を乱したままの朝霧。