ゆっくりとレストラン内へ。

中は椅子やテーブルが散乱していた。

恐らく食事中だった客達が、非常警報の音で動転して店内から逃げ出したのだろう。

床に引っくり返ったままの椅子とテーブルが、混乱ぶりを表している。

「蝋燭は…都合よくないよな、やっぱり…」

キョロキョロと店内を見回したが、それらしきものは見つからない。

俺は仕方なく、店内に転がっている椅子の脚を、一本へし折った。

木製の椅子の脚。

これにガスコンロからの炎を燃え移らせ、松明の代わりにする。

そうすれば灯りになるだろう。