「わ、きゃっ!」

突然手を引っ張られた事で、ハルカは床に転倒した。

「いったーい!何すんのよ馬鹿恭一!」

いつもの口調でハルカはまくし立てる。

直後!

「!!!!!!」

凄まじい轟音を立て、背後でエレベーターは急降下を始めた。

いや、急降下などという生易しいものではない。

落下だ。

扉を閉じる事もなく、いつもなら電子音声でアナウンスする、下へ参ります、の声もなく。

エレベーターは、人間を運ぶ機能を無視した猛スピードで落下し、遂には地上で激突する衝突音だけが、俺達の耳にまで届いた…。