全くゲンナリだった。

このまま俺達は階下へと下りなければならなくなった。

こうなると地上60階という高層ビルぶりが恨めしくなってくる。

急に重く感じ始めた足を引き摺りながら、59階へ。

と。

「ねぇ恭一」

ハルカが俺の腕をペシペシと叩いた。

「あれ使えばいいじゃない」

彼女が指差したもの。

それは無人のまま、今も稼動中のエレベーターだった。