溺れながらも、彼女は俺の存在に気づいたようだった。

まさしく『溺れるものは藁をもつかむ』。

彼女は沈み行く体を必死に動かし、俺の手を掴もうとする。

が…「あぁっ!」

流水が速すぎて、俺の手を上手く掴む事ができない。

流れに持っていかれ、再び水中に没しそうになる。

「頑張れ!手を!手を伸ばせ!」

俺は彼女を励まし続けながら、必死に体ごと乗り出す。

これ以上乗り出せば、俺もプールに落ちてしまうかもしれない。

その恐怖心を何とか抑え込み、更に、更に遠くへと手を伸ばす。

そして、流れに乗って少女が近づいた瞬間!

「よし!」

俺は遂に、少女の手を掴む事に成功した!