それにしても…。

血みどろの虎の死体を押し退け、ノートパソコン片手に私は立ち上がる。

永瀬恭一…だったか。

確証までは掴んでいなかったとはいえ、彼は私がこのテロの元凶である事を気づきつつあった。

なかなか勘の鋭い子。

判断力も行動力もある。

この状況下で、自力で脱出できる人間なんてそうはいない。

だから、死なせるのが惜しくなった。

私が彼を助けたのは、そういう理由もあるかもしれない。