痛みを堪え、俺は目を開けて足音の方を見る。

ハルカや朝霧、八戸も同じ方向を見る。

そして全員絶句する。

…獰猛な眼、黒い縞模様、獣臭を漂わせる2メートル以上もの獣が、その場に佇んでいたのだ。

「と…虎…!?」

ハルカが小声で呟く。

その唇は震え、奥歯がカチカチと合わさる音が俺の耳にも届いた。

「な…何でこんな所に虎が…!?」

「そ、そういえば…」

ハルカ同様の反応に加え、今にも卒倒しそうなほど青白い顔をして、朝霧が言う。