透の家に向かっていた足を引き返したら、コートから出た自分の手が震えた。 ――――― 家に入ると、さっきまでの寒さが嘘のように温まる体。 床に鞄を投げつけた後、ピアスとネックレスを外し、メイクも落とした。 普段より気合いいれたのに見てももらえなかった。 脱力感から項垂れる肩。 「…もう寝よ。」 せっかくのクリスマス。 家族で過ごす大切な日。 恋人達のイベント。 そして…私達の、 記念日。