とことん最低な奴。
「ま、好きでもない男とつき合った自分の責任じゃね?」
中村先輩がもっともなことを言う。
わかってるもん。
美紀は何も言い返せなかった。
「とりあえず俺の方でもどうにかしてみるからしばらく我慢して。」
「…ありがとう。」
美紀はまたこの人の優しさに甘えるんだ。
何があるってわけでもないけど罪悪感を感じる。
中村先輩のその優しさは何?
美紀の勘違い?
彼の表情からは何も読みとれなかった。
「捨てられた犬みたいな顔してんなよ。
俺がどうにかしてやるって言ってんだろ?」
「い~ひゃ~い~!!」
つねられた両頬はちっとも痛くなかった。
だけどその手の感触がずっと残っていた。


