甘い卵焼きを一切れ噛みしめる。
「はい。あげる。」
中村先輩のお弁当に勝手にもう一切れの卵焼きを置いた。
「お!サンキュー。」
先輩はそれをおいしそうに食べた。
「美紀ちゃんさぁ…、最近3年の男子に絡まれてたりしねぇ?」
「なんで知ってんの?なんかやたら遊びに誘われるんだよね。」
「あぁ…。やっぱ知らねーか。」
「何?」
歯切れの悪い中村先輩に不安を感じる。
「たちの悪い噂がね…。」
「だから何?」
「…白石美紀は誰とでもヤル女だとさ。」
自分の顔が歪むのを感じた。
「美紀そんな女じゃない!!」
「わかってるって。
犯人、森だから。」
奥歯がギリッと鳴った。


