いつの間にか立ち上がっていた森先輩が美紀を見下ろす。
「な…んで?美紀そんなつもりじゃなくて。ビックリしただけで。」
「いいから。」
必死の繕いも阻止される。
そして声も出せなくなるほど冷めた表情で言われた。
「ヤレない女に興味ない。」
自然と涙が浮かんできた。
足元に置かれていたカバンを拾うと逃げるように部屋を出た。
靴を履いている時も、玄関を出て歩きだしても、森先輩が追いかけてくる様子はない。
本気だったんだ。
まさかあんなこと言われるなんて思わなかった。
「最悪…。」
悔しい。
痛いくらいに唇を噛みしめる。


