彼は下から美紀を睨むと小さく舌打ちをした。
「美紀…、まだ心の準備ができてないっていうか…。森先輩のこと嫌だってわけじゃないんだよ?ただ…。」
体を起こし精一杯の言い訳をする。
うん。これは言い訳だ。
だって美紀の頭の中は別の男の人のことで一杯なんだから。
直ちゃん。
怖いよ。
キスは我慢できたけど、もう無理だよ。
いつでも美紀は直ちゃんばかりを求めてしまう。
いつでも森先輩を直ちゃんだと思おうとしていた。
直ちゃんは直ちゃんなんだよね。
代わりなんていない…。
助けて…。
「もういいや。別れっか。」
ため息と共に頭上から聞こえた。


