僕は君のもの




唇を噛んだまま足元を見た。



『何?どうかした?』



たっぷり3秒数えた。



「…なんでもない。今行くね!」




静かな道に下駄の音が響く。




「あっ。急だったからおみやげ何もないよ?」



『おみやげ?』



「そ。わたあめとかベビーカステラとかチョコバナナとか!」



『俺はガキか!』



楽しそうに笑う直ちゃんの顔がハッキリ見えるところまで近づいた。



「ならたこ焼きがよかった?」



「この距離で電話する意味なくね?」




二人で笑いながらケータイを切る。




「浴衣、かわいいじゃん。」



直ちゃんが美紀の頭を撫でた。