「だって・・・っ・・」





「泣きたいのはこっちなんだよ・・っ」




健悟の声は震えていた。


・・泣いてるのかな・・・・。



・・・これはあたしが悪いの?





「あたしだって・・新地とキスするつもりなかったもん・・」




「・・・・」



「健吾・・・っ」






「あたし健悟に初めて会ったとき
お詫びで“付き合え”って言われたよね・・・?
その時はあたし・・健吾のこと好きじゃなかった・・。」


「・・・」


「でもね・・。あたし・・どんどん健悟の笑顔や、言葉にひかれていって・・
それで・・健吾のことどうしようもないくらい好きになちゃったの・・っ」




「・・・・」


健悟は何も言わずに奈々を置いて

横断歩道を渡っていった。


奈々はそれを追いかけた。



「ま・・まって・・!!けっ」


その時信号の色は“赤”だった。



プップー   キイィィィィー     ドンっ


―――――――――――――――・・・・


健悟はすごい音のしたほうを向いた。


「奈・・・々・・・・?」



健悟が見た光景には頭から血を出して

      倒れている奈々の姿があった。