しかし体は傷がついたまま
家に帰ると思い出したかのように
痛みが襲ってくる


その日俺は泣いた
親が気付かれないように


痛みがくるたびもう野球が出来ない
現実を突き付けられるみたいだった


それは小5の俺には重すぎる現実だった


そしてあれから詩織の両親が何度も、
何度も俺の親に頭を下げていたのを見た


その時、俺は悟った


ああ…もう詩織には会えないんだな、と

もう一緒にキャッチボールは出来ないんだと


詩織は何も悪いこと
なんてしてないのに…

詩織の親は何も悪くないのに…


しかし俺はそれに目を背けることしか出来なかった