しかしクラウンは首を振った。

「いや、広間に」

「え?」

「連れとはぐれてしもてな…。サラちゃんも今日は広間に行かんとあかんやろ」

サラの肩を借りて立ち上がったクラウンはぐぐぅっと伸びをした。

「だいぶ調子もようなったし」

そう言うクラウンの顔色はまだ悪い。

「え? いやでも…」

「だ〜いじょうぶ、大丈夫。そんな心配せんでも」

(全っ然大丈夫じゃないんですが)

サラは自分が心配症なのを自覚している。が、今回ばかりは心配し過ぎではないと思った。

「わかりました。じゃあ、一緒に行きましょう?」

にっかと笑ったクラウンにサラはどこと無く先に広間に行っているはずの自分の主を思い出した。頑固、という意味で絶対同じ人種だと思った。


「なあ…サラちゃんて何歳なん?」

「わたしは19ですよ。えっと…」

「わしはクラウン言う。18や。つってもその10倍は生きとるけどな」

「え?! えええぇ〜〜〜!!」

「あっはっはっはっは」





二人の少女の楽しそうな声が廊下に響いていた。