あれから数日後、二人は再び王宮に来ていた。

しかし、

「クラウン、どうした」

心配そうにバシラスがクラウンに声をかけた。クラウンは眉間にシワを寄せ、左を首の裏に当てしきりに摩っている。バシラスの呼びかけに気づいた様子もない。

「クラウン!」

「ふえっ!?」

もう一度、今度は強い調子で呼び掛けると、クラウンは素っ頓狂な声を上げて顔を上げた。


「どうした。顔色が悪いぞ」

「う〜ん。首の裏がムズムズすんねん」

と、しきりに首の裏を気にしている。そういえばさっきからずっとそこに手を当てている

「?」

怪訝な顔をするバシラスにクラウンは独り言のように呟いた。

「ここはあんまようないなァ」

「は?」

「めっちゃ澱んどる」

「…」

「…この前来た時はそうでもなかったんに」