「ク〜ラ〜ウ〜ン〜〜!!!」


背後から彼女を呼ぶ声。恐る恐る振り向くと鬼のような形相の男が立っていた。


「げ。あ、はは…」


ぎこちない笑みを浮かべる彼女に男はくわっと目を剥いた。


「お前はっ、あれっ程待っておけと言ったのに! 目を離した隙にどっか行きやがって!!」


ガミガミと説教をする男にクラウンはしゅんと身を縮こまらせた。


「だって、クロは中々帰って来んし、退屈やってんもん」


クロ、ことクロストリジウム=バシラスはその言葉にはあ、とため息をついた。このクラウンという少女はとにかく一つ所にじっとしていない。ちょっと目を離した隙にどこかへ行ってしまう。

バシラスは手のかかる妹の面倒を見ている気分になった。