「……なんだ?あれは…」
ドルメックの視界の先にあるのは、およそ生き物の体内に存在するはずの無い代物だった。
胃壁の一部に、機械が埋め込まれているのだ。
所々に明滅する警告灯の光とよくわからない目盛りの付いた基盤が見て取れた。
何に作用するのか不明だが、明らかに異質なものである。
(…こいつは、人為的に取り付けられている…よな?人間を忌み嫌っているドラゴンがおとなしくこんな機械を体内に取り付けさせるのか?)
次々と湧き上がる疑問がドルメックを思考の渦に巻き込む。
討伐前日のドルメックの疑問にふと思い至る――魔石を必要とする理由――。
(この機械が何か関係しているのか…?)
思案していると、握り締めていたロープが振り子のように大きく振れた。
滑り落ちそうになり慌ててしがみ付き、難を逃れる。
今も外では討伐隊とドラゴンが攻防を繰り広げているのだ。
あまり悠長にもしていられなそうである。
(…っくそ!何か重要なことなんじゃないのかこれって!
俺じゃあ判断が付かない…。何とかして外に伝えれないのか?!)
焦燥感に苛まれている中、思考を遮るように再度ロープが揺らぐ。
ドルメックに残された猶予はあまりにも少なかった。
腹を括り、作戦を実行するしかない――――そう思った時だった。
何か、今までこの空間には無かった音が聞こえた。
周りの音に邪魔されてなかなか聞き取れなかったが、だんだんと音がはっきりとしてきた。
(これは、言葉…か?)
『――――…ル…さ…』
『……ドル…ックさん、聞こえますか?』
今度は聞き取れた。草原の民―パンパスの声―。
「…っはぁ?何で?」
状況についていけず、なんとも間抜けな返答が口を突いて出ていた。

