王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐




「力の解放をしようとしたドルメックさんが、何かに気を取られたようです」

轟々と風雨が吹きすさぶ中、ドラゴンからの追走劇を繰り広げながらパンパスが状況を逐一伝達している。
すかさずベリルが先を促す。

「何に気を取られたのかね?」
「ピューマはドルメックさんを見ているので…
ドルメックさんの視界の先を見てくれないと確認が出来ません」

パンパスが困ったように答える。
ドラゴンの追撃を避けながら、焦れたようにクラウンが喚く。

「何やねん!こっちの気ぃも知らんと!
はようボカンとやりゃええねん、あの阿呆~」

[何時マデ逃ゲ回ルツモリダ!]

狂気に燃えるドラゴンが、眼前まで迫る。
寸でのところでかわしたが、いずれにせよ捉えられるのは時間の問題である。
そんな中、ベリルがパンパスの肩に手を置いた。

「すまないが、少々能力(ちから)を貸してもらおう」
「え?」

疑問に思い振り仰いだパンパスが見たものは、自分と同じ色に光るベリルの双眸。
どうしてそんなことが出来るのかわからなかったが、その時確かに、ベリルはパンパスと同じ能力を使い、ピューマの視界を捉えていた。

「パンパス、何も考えずにそのまま聞いてくれ。今から君とピューマの意識を同調させてみる。同調したら君の意思でドルメックと周りを見渡してみてくれ」

突然の事に思考が付いていかず、パンパスは黙って頷いた。
改めてピューマの意識に集中する。

それを見届けて、ベリルもパンパスを通じてピューマに精神を集中させていった。