君と竜が望んだ世界

 その他、ロイは指輪やブレスレット等色んなアクセサリが、術力を介する道具としてあることなどを目の前――おそらくそんな事とうに知っているハーヴェイ以外――の生徒に説明した。
 媒介術具の参考として、ロイは腕につけているブレスレットをみせた。


「ロイ先生、それアシュレイハウスの“Rシリーズ”じゃないですか!」

 前列の誰かが言ったその言葉に、その人声に、クラスがざわめいた。


「先生本当? どうやって手に入れたの?」

「俺の父さんなんか半年前、久しぶりの新商品がショーウィンドウに出たとき、間に合わなくてさー。相当悔しがってたよ」

「私も!お父様に誕生日プレゼントにぜひ欲しいって、お願いしたのに。手に入らなかったみたいで」

「てゆーかそれ、そもそもただの一教師が簡単に変えるシロモノじゃないですよね、先生」


 質問にはじまり、嫌味のようなものまで混ざってきた。


「おい、お前ら! 誰がただの一教師だ、誰が! 俺はこれでも“優秀な教師”だ。
 それに、コレの事はノーコメント。お前らにはまだまだ早い。それより話し戻すぞ。そもそも術具の参考として見せただけなんだからな」


 ロイがふてくされて用声を荒げてようやくおさまった。




 あれってそんなに人気が出ていたのか。しかも相当入手困難……らしいな。

 と、考えていたハーヴェイをよそに、授業は進められていった。

 ブレスレットの使い方を教えたところでちょうど終わりを告げる鐘が鳴り響いた。

「じゃあこの授業はここまでだ。明日以降契約が終わったら早速道具使って召喚させるから、ちゃんと準備しておけよ」

 まばらな返事が返され、授業が終わった。
 ロイが教室を去る準備をしてハーヴェイのところまできた。


「どうだった、初めての授業は?」

 ニヤニヤと笑みを浮かべながら訪ねてきた。