深想シンドローム



「その調子じゃ、上手くいってないみたいだねー。」


冗談を言いながら、西くんはあたしの横に座った。


みんな突然の西くんの登場に、戸惑ってる。

ヒナちゃんなんて、目が完全にハートマークだ。



そんなあたしたちに
西くんは自販機で買ったであろうフルーツオレをそれぞれに手渡し、自分も同じモノを飲んだ。


「俺も手伝うよ。」


なんて、根拠のない自信たっぷりな発言をして。



「で、でも…、」


あたしたち4人でやってもダメだったのに…。


けれどそう思ってるのは、あたしだけじゃなかったみたいで。


「何か考えでもあるんですか?」

と口を開いたのは、一番冷静なちづちゃんだった。


期待を加えつつ、西くんに視線を移せば

「んー、特に明確な考えはないけど。」

どこまでも呑気な言葉が返って来る。



…やっぱり。


はぁ、とみんなが同じ反応をする中、「でも」と西くんはフルーツオレを飲み干した。

そんな彼にみんなは疑いの視線を向ける。


「俺、実はちょっとアテがあるんだよね。」

「ア、アテ?」

「うん。」

「本当に…?」


そう訊ねたあたしに、西くんは二ヤリと笑った。



「俺を誰だと思ってるの?」