でも、現実ってそう上手くいかないもんだ。



「はぁ~…。」

「全然集まらなかったねぇ…。」

「何でなのぉー!?」


朝から署名集めをして、書いてくれたのは20人弱。

しかもその大半がうちのクラスのみんなだ。


「うう~、喉痛ぁ…。」

「ヒナの美声が出なくなったらどーしてくれる~っ!」

声を張り上げすぎてみんな声がかすれてる。



「すぐ集まると思ったのに…。」


書面を見つめ、大きな溜め息が零れ落ちた。


体育祭まで、あと4日。

この調子じゃ
とても先生を納得させられるような数が集まるとは思えない。


多分、みんなも
同じことを考えているんだろう。

その顔に諦めの色が見え隠れしてる。



悔しい…。

思わず溢れ出しそうな涙を、唇を噛み締め懸命に堪えた。




―――と、その時。




「はいはーい、みんなお疲れ~!」

突然聞こえた声に、あたしたちの目が点になる。

ピースサインで笑う人物。



「に、西くん!」

そう、振り返った先に居たのは西くんだった。